


この記事では、介護職のキャリアアップの順番、資格ごとの取り方、資格による給料の違い、現場のリーダーや相談職・管理職へ進む道をわかりやすく解説します。
結論:介護職のキャリアアップは「初任者研修→実務者研修→介護福祉士」が基本
先に結論をお伝えします。介護職のキャリアアップは、次の順番で資格を取っていくのが基本です。
- 介護職員初任者研修:介護の基礎を学ぶ入門の資格
- 介護福祉士実務者研修:より専門的な知識と、たんの吸引などの医療的ケアの基礎を学ぶ
- 介護福祉士(国家資格):介護の専門職であることを証明する国家資格
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)など:介護福祉士として経験を積んだあとに目指す道
介護福祉士を取ったあとは、現場のリーダー、ケアマネジャーなどの相談職、施設長などの管理職と、進む道が広がっていきます。
介護職のキャリアアップの道筋

資格や役職ごとに、取り方と仕事の特徴をまとめると次のようになります。
| 段階 | 取り方・条件 | できること・仕事の特徴 |
|---|---|---|
| 無資格 | 施設で働く場合、法律上の資格の要件はない | 先輩の指導を受けながら介護の仕事を覚える。介護に直接携わる場合は、認知症介護基礎研修の受講が必要 |
| 介護職員初任者研修 | 130時間の研修を受け、修了評価に合格する | 訪問介護で身体介護ができるようになる。介護の基本を体系的に学べる |
| 介護福祉士実務者研修 | 450時間の研修を修了する(初任者研修の修了者は一部の科目が免除される) | 医療的ケアの基礎を学ぶ。サービス提供責任者として働ける |
| 介護福祉士 | 実務経験3年以上と実務者研修の修了などで受験資格を得て、国家試験に合格する | 介護の専門職として、現場のリーダーや後輩の指導を任されることが多い |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 介護福祉士などの資格にもとづく業務や相談援助業務を5年以上かつ900日以上経験し、試験と研修を経て登録する | ケアプランの作成、利用者・家族やサービス事業者との調整を行う |
| 施設長・管理者 | 施設の種類によって必要な資格や経験が異なる | 職員の育成や施設全体の運営・マネジメントを担う |
サービス提供責任者になれる人
訪問介護のサービス提供責任者として働けるのは、実務者研修の修了者や介護福祉士などです。以前は、初任者研修の修了後に3年以上の実務経験がある人も認められていましたが、2019年4月からは対象外になっています。
サービス提供責任者は資格の名前ではなく、職務の名前です。訪問介護の計画づくりやヘルパーの調整を担う、訪問介護のまとめ役といえます。
資格によって給料はどれくらい違う?
資格を取ると、資格手当がついたり、基本給が上がったりして、給料が上がることが多くなります。厚生労働省の調査では、介護職員の保有資格別の平均給与額は次のとおりです。
| 保有資格 | 平均給与額(月額) |
|---|---|
| 保有資格なし | 290,620円 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 |
| 実務者研修 | 327,260円 |
| 介護福祉士 | 350,050円 |
| 介護支援専門員 | 388,080円 |
| 社会福祉士 | 397,620円 |
※令和6年度介護従事者処遇状況等調査(令和6年9月)。介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の介護職員で、月給・常勤の人。基本給に手当と一時金(4〜9月支給額の6分の1)を加えた金額。資格は複数回答のため重複して数えています。

資格手当の金額や、資格をどこまで給料に反映するかは、職場によって大きく異なります。転職先を選ぶときは、資格手当の有無と金額を必ず確認しましょう。
キャリアパスが整っている職場を選ぼう
介護職員等処遇改善加算を取得する事業所には、職位や職責に応じた任用の条件や賃金の体系を整える「キャリアパス要件」が求められています。
つまり、どんな資格や経験があれば、どの役職になり、給料がいくら上がるのかをはっきり示している職場ほど、キャリアアップの道筋が見えやすいということです。面接では、昇給や役職の決まり方を聞いてみるとよいでしょう。
介護福祉士を取るには?働きながら目指すルート
介護福祉士の国家試験を受けるルートはいくつかありますが、介護の現場で働きながら目指す人の多くは「実務経験ルート」を選びます。
| ルート | 主な条件 |
|---|---|
| 実務経験ルート | 介護などの業務の実務経験3年以上(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)と、実務者研修の修了 |
| 養成施設ルート | 介護福祉士の養成施設(専門学校や大学など)を卒業する |
| 福祉系高校ルート | 福祉系の高校で決められた科目を修める |
実務経験ルートでは、実務者研修を修了していることが受験の条件です。3年の実務経験を積むあいだに実務者研修を終えておくと、すぐに受験できます。


第38回からは、試験の科目をA・B・Cの3つのパートに分けて合否を判定する「パート合格」が始まりました。不合格でも、合格したパートは翌々年まで受験が免除されます。働きながら少しずつ合格を積み上げられる仕組みになったので、忙しい人でも挑戦しやすくなっています。
介護福祉士のあとに目指せる4つの道
介護福祉士を取ったあとは、自分の得意なことや目指す働き方に合わせて、道を選べます。
| 進む道 | 主な仕事・役職 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 現場のスペシャリスト | ユニットリーダー、介護主任、認定介護福祉士 | 現場で利用者と関わり続けたい人 |
| 相談職 | ケアマネジャー、生活相談員 | 利用者や家族の相談に乗るのが好きな人 |
| 管理職 | 施設長、管理者 | 職員を育て、施設全体を動かしたい人 |
| 専門分野を広げる | 社会福祉士、認知症ケアなどの専門資格 | 得意な分野を深めたい人 |
現場のスペシャリスト
現場で経験を積み、チームをまとめるユニットリーダーや介護主任を目指す道です。さらに、介護福祉士の上位の資格として「認定介護福祉士」もあります。現場のケアの質を高め、ほかの職員を指導する役割を担います。
相談職(ケアマネジャー・生活相談員)
ケアマネジャーは、利用者一人ひとりに合ったケアプランを作り、サービスを調整する仕事です。月末や月初は給付管理の業務が集中しやすいものの、夜勤がない職場が多く、体への負担を減らしたい人にも選ばれています。
管理職(施設長・管理者)
施設長には、スタッフの教育や指導、利用者・家族への対応、施設全体のマネジメントといった力が求められます。施設の種類によって必要な資格や経験が違うため、目指す施設の要件を確認しておきましょう。
キャリアアップを進めるためのコツ
- 資格取得の支援制度を使う:研修の受講料を補助してくれる職場や、自治体の支援制度を活用する
- 実務経験の日数を記録しておく:介護福祉士やケアマネジャーの受験には実務経験が必要なので、働いた期間を把握しておく
- 目指す道を早めに決める:現場・相談職・管理職のどれを目指すかで、選ぶ職場や積むべき経験が変わる
- リーダーの仕事に手を挙げる:委員会や新人指導などを経験しておくと、役職への道が開けやすい
架空のケース:無資格から介護福祉士になったFさん
※以下はキャリアアップのイメージをつかむための架空の例です。
Fさん(架空)は、30代で異業種から無資格のまま特別養護老人ホームに転職しました。働きながら初任者研修を受け、1年目の終わりには実務者研修も修了。職場の受講料補助を使ったため、自己負担は少なく済みました。
働き始めて3年がたったところで介護福祉士の国家試験に合格し、資格手当がついて給料が上がりました。今はユニットリーダーとして後輩の指導も任され、将来はケアマネジャーを目指しています。
介護職のキャリアアップに関するよくある質問
Q.無資格・未経験からでもキャリアアップできますか?
できます。介護の仕事は、無資格から働き始めて、職場で経験を積みながら資格を取っていく人が多い仕事です。資格取得の支援制度がある職場を選ぶと、費用の負担を抑えながらステップアップできます。
Q.初任者研修を飛ばして実務者研修から受けてもいいですか?
問題ありません。実務者研修は無資格からでも受講でき、介護福祉士の受験に必要なのは実務者研修の修了です。ただし、無資格から受ける場合は学ぶ時間が長くなるため、仕事との両立を考えて選びましょう。
Q.キャリアアップのために転職したほうがいいですか?
今の職場で資格取得の支援や役職への道があるなら、無理に転職する必要はありません。一方で、資格を取っても給料が上がらない、役職の決まり方がはっきりしないといった場合は、キャリアパスが整った職場への転職を考えるのもひとつの方法です。
介護現場で役立つその他の資格3選
介護の現場では、ほかにも役立つ資格があります。中には、医療機関でも働くことのできる資格もあります。ここでは医療現場でも働ける資格を取り上げ、必要なスキルや医療現場との仕事の違いを紹介します。
理学療法士

理学療法士は、いわゆるリハビリの専門職です。大学や専門学校などの養成校で学んだあと、国家試験に合格することで働けるようになります。一人ひとりに合わせたプログラムで、体の機能を回復・維持するためのリハビリを行います。
必要なのは、リハビリに関する知識や技術です。加えて、高齢者に多い病気の知識やコミュニケーションの力も求められます。
医療機関では、病気やけがの直後でリハビリが必要になったばかりの人が中心です。一方、介護施設では状態が落ち着いた人の生活機能の維持が中心になります。

看護師・准看護師

看護師・准看護師も、養成校で学んだあと、それぞれの試験に合格することで働けるようになります。
介護施設での主な仕事は、入居者の健康管理や医療的な処置、記録などです。医療の知識や看護の技術はもちろん、介護の技術や高齢者とのコミュニケーションの力も必要になります。
医師がすぐそばにいる医療機関と違い、介護施設では看護職が自分で状況を判断し、対応する場面が多くなります。施設によっては、看護職の配置が少人数のこともあるでしょう。

管理栄養士

入居者の栄養管理や栄養指導を行うのが、管理栄養士の仕事です。
管理栄養士の養成課程がある学校を卒業するか、栄養士の資格を取ったあとに決められた実務経験を積むことで、国家試験の受験資格が得られます。国家試験に合格すると、管理栄養士として働けます。
栄養のバランスを考えて献立を立てるだけでなく、入居者の希望を聞いて献立に生かすこともあります。高齢者にとって食事は大きな楽しみなので、工夫が求められる仕事です。
飲みこむ力が弱くなった人には、ケアスタッフと話し合いながら、食べやすい形に食事を変えることもあります。入居者とのコミュニケーション、ほかの職種と連携する力、高齢者の食事に関する知識が欠かせません。

介護職のキャリアアップのまとめ
介護職のキャリアアップは、初任者研修→実務者研修→介護福祉士の順番で資格を取るのが基本です。資格を取るほど任される仕事が広がり、給料も上がりやすくなります。
