同じ
「悪いけど、もう来なくていいから…」
派遣社員で働いている限り、「派遣切り」の不安が付きまといますよね。
もし、派遣切りに遭ってしまったら?
労働法に沿ったやり方と、納得できる理由であれば、仕方がないと納得できます。
ですが、そうでなかった場合はどうしたらいいのでしょうか?
突然、契約を切られてしまった。
契約を打ち切る理由が、身に覚えもなく納得できない。
生活が懸かっているわけですから、泣き寝入りするわけにはいきません。
派遣切りってどういうこと?
まずは、派遣切りがどういったことを指すのか、確認していきましょう。
派遣切りとは派遣期間が切れる前に契約が切られてしまうこと
派遣切りとは「派遣の契約期間は終わる前に、派遣契約が打ち切られること」を指します。
勘違いされやすいのですが、あなたを含む派遣社員は勤め先ではなく、派遣会社(派遣元)と雇用契約を結んでいます。
つまり、派遣切りには「あなた」「派遣会社」「派遣先」の3者が、絡んでいるということになりますね。
そして、派遣切りを法的に見ると、2つのケースがあります。
- 「派遣会社」と「派遣先」の間で派遣契約が打ち切られる場合
- 「派遣会社」と「派遣社員」の間で派遣社員が解雇される場合
以上の2つが、世の中では「派遣切り」と呼ばれています。
派遣切りをされる理由は4つ
では、なぜ派遣切りが起こるのでしょうか。
派遣切りの理由として、代表的な理由は以下の4つです。
- 派遣先の業績が悪化してしまった
- 派遣契約期間が上限に達した
- 勤務態度が悪かった
- 業務に必要なスキルが乏しく、支障がでていた
それぞれの理由を、派遣先の本音で紐解いてみると…
1.派遣先の業績が悪化してしまった
→業績が下がり、あなたを雇えるだけの余裕がなくなった
2.派遣契約期間が上限に達した
→派遣社員には、3年という契約上限がありますよね?そのためそれ以上の契約ができ
ません。
3.勤務態度が悪かった
→著しく悪ければ、解雇できます。
おそらく、雇用契約書にも、ほとんどの企業は、記載しているはずです。
4.業務に必要なスキルが乏しく、支障がでていた
→派遣先が求める業務を行うことができず、スキル不足と判断されれば、契約を切られる場合があります。
ブラック企業の派遣切りのパターンは3つ
ここでは、泣き寝入りすることのないように、悪質な派遣切りのケースを3つご紹介します。
- 3年という契約満了直前での派遣切りをする
- 理不尽な難癖をつけて、辞めさせる
- 職場環境を悪くして、居づらくさせようとする
こちらもそれぞれ、紐解いてみていきましょう。
1.3年という契約満了直前での派遣切りをする
→派遣社員の場合は、3年働くと社員になれるという決まりが、法律上あります。
そのため悪質なケースでは、社員にはせずギリギリまで働かせて、契約を切るという会社もあります。
2.理不尽とも思えるいちゃもんをつけて、辞めさせる
→どうにかして、派遣切りをしたい会社では、何かと理由をつけて契約を切ろうとしてくることがあります。
些細なことから、退職に追い込む理由を探っているのです。
3.職場環境を悪くして、居づらくさせようとする
→パワハラやセクハラなど、職場に居づらい環境を作り、自ら退職させようとしてくることがあります。
「退職しろ」とは言えないため、圧力をかけて退職させようとするんですね。
では、実際に派遣切りにあってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
次は、「派遣切りにあった際にすべきこと」について、具体的にお話していきます。
派遣切りと雇止めの違い
契約期間中であるにも関わらず契約を打ち切られる「派遣切り」に対して、契約期間が満了したのちに契約更新してもらえずに辞めなければいけなくなってしまうのが「雇止め」です。
しかし「企業が契約満了を機に派遣を切る」という意味で雇止めのことを「派遣切り」という場合もあります。
派遣切りは違法行為なのか?
そもそも派遣社員とは「期間の定めのある雇用契約」であり、よほどの理由がない限り期間の途中での契約解除はできないことになっています。(労働契約法第17条)
契約期間が満了したときに更新しない「雇止め」の場合でも、これまでに何度も契約を更新し正社員と同じ働きをしている場合は契約更新の拒否は違法になることもあります。
派遣という働き方は労働者と派遣元・派遣先の3者が関わっているので複雑です。派遣切りや雇止めが違法かどうかに関してもケースバイケースとなる場合が多いので専門家でないと判断は難しいでしょう。
派遣切りに関係する3年・5年のタイミング
派遣切り・雇止めが起こりやすいタイミングとして3年と5年のタイミングがあります。
企業側が派遣社員を直接雇用しなければならない可能性のあるタイミングなので、直接雇用したくない場合はこのタイミングで切ろうというわけです。
派遣の3年ルール
まずは2015年の派遣法の改定で決まった「3年ルール」です。
派遣社員は、同じ会社・同じ部署で継続して働けるのは3年までという期限付きになりました。3年を超えた場合は
2.別の派遣先に変える
3.派遣元で無期雇用
4.その他安定した雇用の継続を図らなければならない
このような措置を取ることを義務付けられるようになりました。
企業側からすれば、同じ人材を同じ部署で雇い続けられるのは3年まで、それを超えると部署を変えるか直接雇用に変換しなければならないということになります。
ここで直接雇用に変換したくない場合は「雇止め」ということになります。
ただし、3年ルールが適用されない条件もあります。
・年齢が60歳以上である
・無期雇用として働いている
・期限が決められたプロジェクト
・1ヶ月の勤務日数が10日以下
・産休や育休、介護休業で休んでいる人の代わりとして働いている
・同じ企業でも3年以内に部署を変わった
以上の条件に当てはまる人は3年ルールは適用されません。
5年の節目「無期雇用変換」のタイミング
もうひとつの雇止めのタイミングとして「無期雇用への変換」のタイミングがあります。
2013年の派遣法改定によって生まれた制度で、派遣や契約社員・パートであっても同じ勤務先で5年以上働き続けた場合は期間の定めのない「無期労働契約」への変換ができるというものです。
2018年問題とは
2015年の改正によって生まれた「3年ルール」、2013年の改正によって生まれた「5年で無期雇用変換ルール」どちらも改正以来初の区切りを迎えるのが2018年です。
そのため2018年は長く働いていたベテランの派遣社員でも次々と契約を打ち切られ、止まらない派遣切りや雇止めで社会問題となりました。
どうしよう…派遣切りにあった時にすべきこと
派遣切りにあってしまった場合、具体的にはどのような行動をすべきなのでしょうか?
「派遣期間中の場合」「満了後の場合」など、ケース別でお話します。
1.契約期間中の場合
まずは、派遣契約が期間内なのに、派遣切りされてしまった場合です。
そもそもですが、契約期間内で契約を切られる場合は、就業規則に沿った適切な理由が必要です。
不適切な、会社都合での解雇の場合は、不当解雇に当たります。
その場合は、派遣会社に慰謝料や賃金を請求できるのでご安心を。
失業保険を貰える条件
また、派遣切りで失業した場合は、失業保険ももらえますよ。
万が一、「不当解雇だ」という場合は、弁護士に相談をしましょう。
けれど、「弁護士への相談なんて初めてで不安」という方のために、このすぐ後に弁護士へ相談するための流れも解説しますね。
2.契約期間満了後に更新がなかった場合
契約期間を満了後、更新がなかった場合は、条件によってはこれまでの派遣先で社員になれる場合があります。
3年間、派遣社員として働けば、社員になれるという決まりがあるお話はしましたよね。
その他にも実は、同じ会社で1年以上働くと、社員になれる場合があります。
派遣先が、1年以上働いたあなたを社員にする義務は、法律上はありません。
そのため、派遣先に社員になれないか、直接聞いてみましょう。
派遣切りで困ったら!すぐに相談してみよう
派遣切りは唐突にやってきます。
ましてや、過去に経験をしたことがあるわけでもなく、適切な対応が分からないこともあると思います。
そんな時は、労働問題の専門家である弁護士に、相談をしてみましょう。
悪質な派遣切りの相談はすぐに「弁護士」へ
職場での問題は、「労働基準監督署」などへの相談が一般的です。
ですが、労働基準監督署は多くの仕事を抱えているため、対応が遅れてしまうこともあります。
例えば、
- こうした事案に慣れているので、スムーズに事が早く進む。
- 初期費用が無料で、成果報酬型のことも多く、気軽に相談できる
- 労働問題や法律の専門家であり、最終的に手元に来る金額も高くなる
などのメリットがあります。
では、実際に弁護士を利用する際の具体的な流れを、ご説明します。
弁護士なんて不安…そんなあなたに一連の流れをご紹介
あなたが「弁護士の利用をしよう」とした時の流れは、以下になります。
- STEP1:弁護士に連絡をして、請求内容を決める
- 相談する際は、初期費用の掛からない弁護士を探しましょう。
「成果報酬型」であれば、会社からお金を請求した中から、支払うことができます。
この段階では、弁護士と会社に対して「何を請求するのか」を話しあって決めます。 - STEP2:「STEP1」で決めた請求内容を、弁護士が会社と交渉する段階
- 多くの場合、この段階で会社側との交渉が済み、結果が出ます。
- STEP3:「労働審判」という法的手続きをする
- 「労働審判」とは、裁判よりも簡単な法的手続きです。
主に、労働者と事業者間で起こった問題に対する、裁判所の手続きです。 - STEP4:それでも決着はつかなければ、裁判をする
- 「STEP3」の労働審判の段階で、決着がつかない場合は、裁判をすることになります。
ですが、今回のようなケースでは、裁判まで行くことはめったにありません。
だからこそ対策と人生計画を考えておこう
企業からの通告は1カ月前です。
冷静にものごとを、判断できなくなる可能性もあります。
- 派遣先に、事前に今後の考えを聞いておく
- 念のため、派遣会社に現在の会社以外にも就業可能な、派遣先がないか確認してみる
何かあった時に、冷静に行動できるよう、情報収集しておくことをおすすめします。
これからは個の時代。手に職を着ける努力も必要かも
派遣社員は、どうしても立場が弱く、就業状況的には安定しているとは言えません。
では、どうすれば社員登用や、立場を強くできるのでしょうか?
答えはシンプルで、「会社にとって必要な人材になること」です。
仕事をする上で十分なスキルがある、職場に活気をもたらしているなど、職場で大事な人になればいいのです。
そのためには、業務に必要な勉強やスキルアップなど、努力が必要になることもあるでしょう。
これからは、簡単な仕事はAIなどのロボットに、代替される時代と言われています。
個人のスキルを身に着けて、職場での自分の立ち位置を守るという行動も、必要かもしれません。
さいごに
「備えあれば憂いなし」と言いますが、派遣切りの問題に関しても、同じことが言えると思います。
- もしも派遣切りにあったらどうするか?
- 不当に解雇されたらどうすればいいのか?
これらを事前に考えることができていれば、次の行動や対策を、素早く行うことができます。。
2018年は派遣切りが急増する可能性もあります。
泣き寝入りをするのではなく、適切な対応が取れるように、準備をしておきましょう。
しらぼー
高知県在住のフリーランス。
過去には辻の料理学校を首席で卒業し、恵比寿の三ツ星レストランへ就職。
様々な経験を経て現在はライターや料理人もやっています。
ブログ ⇒ ささくれ~あなたの暮らしに小さなきっかけ~