トイアンナトイアンナ

今なら明かしても怒られないだろうか。私が新卒の会社から転職を決めた1番のきっかけは、給与だった。噂で競合他社よりもウチが安いらしい、と聞いたのだ。同僚はおったまげた。ウチ、外資だろ。日系に負けるのかよ。

 

同僚に限らず、外資イコール給与が高い、というイメージはつきものだろう。激務と引き換えの高給。額面給与だけ見れば、それは真実だ。しかし日系企業にはさまざまな「見えない給与」がある。家賃補助、保養地、果ては社員専用の婚活サービスまで。

 

以前、墓を買う補助金が会社から出ると聞いて笑ったことがある。死後まで「うちの墓は部長よりランク下げないと」なんて考えたくないなぁ、と。しかし墓の平均価格は196万円その金額をポンと出してもらえるなら、ちょっと部長より墓が小さいからって何が問題だろうか。

 

「見えない給与」に惹かれて、ぽつぽつと日系企業への転職者が増えた。私もそのビッグ・ウェーブに乗ろうと思い、転職エージェントへ連絡した。

年齢と性別だけで決められる給与にあぜん

 

すでに転職した先輩から「エージェントは複数登録したほうがいいよ」とアドバイスをいただいていたので、手始めに3社登録した。外資系の転職に特化した企業、日系特化の大手エージェント、そして自分の専門エリアに強いところ。

 

結論としては3社に登録して正解だったが、以下にその経緯を書きたい。

 

まず面談へ向かったのは、業界大手のエージェントだった。登録すると早速面談を申し込まれ、意気揚々と向かった。

 

――が、現実は厳しかった。

「トイさんですね……20代後半の女性で、転職となると年収は総合職でも300万円台ですね。残業代がつきますけれど、それは会社さんの忙しさによるので……」

 

さ、さんびゃくまん。

知っている、女性の平均年収はそんなもんだと言うことを。20代は総合職でも給与が低く、手取りが少ないということも。メガバンクの総合職へ入った友人は、手取り14万円と言っていた。

 

そういう可能性もあると分かってはいた。が、

「しんどいですね、それは……」と、思わず本音が出た。

 

生活レベルを上げるのはたやすいが、下げるのは難しい。特に年収が数百万円単位で下がると、満足度はぐっと下がる。もともと激務覚悟の業界だから、どこへ転職しても21時前には帰れまい。そうなればストレスはたまるが、発散するお金もないとなると……。転職しないほうがいいか?

18時退社で、年収が上がる!?

 

そう思いながら、2つ目の転職エージェントと面談した。相手は朗らかに笑いながら、こう言った。

「この経歴ですよね? 1社目でも成果を出されていますし、絶対に年収上がりますよ!」

 

この前の面談は何だったんだ。唖然としていると、仕組みを説明された。なんでも、企業には「経歴より年齢や性別」のところと、「経歴さえよければあとは気にしない」ところへハッキリ分かれているのだという。外資系企業では早いうちに裁量権が与えらえるので、必然的に「経歴さえよければ」企業への転職が有利となるのだ。

 

といっても、経歴より年齢や性別を重要視する企業が悪いわけではない。そういう企業では、終身雇用を前提に「待つだけで給与が上がる」わけだから。大きなミスをしなければ、安心して子供を産み、住宅ローンを組める。まさにジャパニーズ・ドリームだろう。

 

ただ私は、年収が上がる方を選んだ。転職先は18時退社。年収は200万円アップ。1社目が激務だったことも踏まえれば、時給はすさまじい上昇を遂げた。といっても、そこへ入れたのは少なからず1社目の経歴があったらこそ。新卒で裁量権の大きな激務を経験するのも、そういう意味では悪くなかった。

エージェントの数だけ、チャンスが増える

 

もしこれから転職を検討されているなら、ぜひ複数の転職エージェントへ登録していただきたい。できれば毛色が異なるエージェントがよいだろう。高収入案件をうたうところ、日系大手が多数登録しているところ、そして専門性の高いエージェント。この3パターンを組み合わせれば、単なる転職先以上に「自分の前に開けているオプション」を広く確認できるはずだ。

 

多くの選択肢を知ったうえで選んだ人生には、後悔が少ない。だが私がもし1社目のエージェントで「そんなもんか」と年収300万円台を選んでいたらどうなったか。残業がなくとも、あとから高収入案件を知って悔やんだかもしれない。逆に「新卒は外資だったから、転職先も外資一択でしょう」と視野を狭めていれば、福利厚生に優れた日系企業を知らず歯がゆい思いをしただろう。

 

転職で年収は増えも減りもする。そしてその理由の多くは、あなたの能力ではない。低すぎる年収を提示されても絶望せず、あるいは高収入案件に踊らされることもなく「譲れない条件」を提示できるなら……きっとあなたの転職も、うまくいくだろう。検討を祈る

 

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この記事を書いた人

トイアンナトイアンナ

執筆業&マーケター。TV出演「おしゃべりオジサンと怒れる女」「最上もがのもがマガ!」など。恋愛とキャリアが専門。飯キチ。http://toianna.hatenablog.com/