うつ病になるとなかなか転職が厳しくなります。
症状自体で転職活動ができない場合は、無理をせず休むのが大切ですが、ある程度回復した場合でも、休養中の「空白期間」の説明などが求められます。

men指指しノーマル

日本の会社社会は再就職、転職に厳しい(特に35歳を過ぎると)わけですが、うつ病になってしまうのはまさに35歳以上、会社の主戦力として働いている年代が多く、通常の転職案件では年齢ではねられてしまいます。
しかもうつ病は「完治」が難しい病気ですから、またハードな現場に行くと再発、悪化の可能性もあります。

というわけで、公的な支援が求められています。
ここではうつ病になった人の再就職支援、転職支援などの制度について網羅的に書きたいと思います。

支援は「リワーク」「職場紹介」の2段階

今回取り上げる転職、復職支援ですが、大きく分けると2つのステージがあります。

リワーク

うつ病になって会社を辞めるということは、症状自体が非常に悪くなっていると考えられます。
そこでいきなり転職活動は負荷が大きく、転職したとしてもさらに再発や症状の悪化をしてしまうケースもあります。

まずは、働ける状態に持っていかなければならず、服薬(治療)と休養に加えて、「リハビリ」を行う必要があります。それが「リワーク」です。

うつ病が酷いと朝起きられず、座っていることすら苦痛です。
それを徐々に慣らしていって、日中の勤務に耐えられる体や習慣づけをしていきます。

職業紹介

転職するわけですからハローワークや転職サイト、転職エージェントを使うことになります。
その場合、普通の求人がいいのか、うつ病歴があること、あるいは障害者手帳を持っていることに理解がある職場がいいのか悩みます。

うつ病を伏せて転職できても待っている先には、またあのブラックな職場かもしれません。
うつ病向け、あるいは精神障害者手帳を持っている人向けの転職サービスがあります。
利用は義務ではありませんが、理解がある担当者や、それをわかっていて求人を出す企業ですので、転職しやすい職場であることは確かでしょう。

この2つのステージそれぞれで受けられる、転職・就職・再就職支援メニューを以下で紹介します。

政府、自治体の再就職支援、転職支援


厚生労働省「~働くための支援、休職からの復帰支援など~」

ハローワークを管轄する厚生労働省が、政府のうつ病の人への転職、再就職支援の主軸になっています。
具体的にはこういうことをしています。

経済的な保証

傷病手当

傷病手当は退職後も受給開始から1年半までなら受け取ることができます。
とにかく働ける状態まで治しましょう。

労災

うつ病で労災が下りるケースは稀ですし、裁判を起こすのは苦痛です。
ハローワークで相談するよりも民間の労働問題に強い弁護士のほうがいいでしょう。

うつ病の相談

総合的な相談窓口はハローワークや労働局などになります。
ただ、ハローワーク職員はカウンセリングの専門家ではないので、適切な回答がないかもしれません。
公的な労働相談窓口として以下を挙げておきます。

公的な労働相談窓口
総合労働相談コーナー(各都道府県労働局)
法テラス(日本司法支援センター)
みんなの人権110番 全国共通人権相談ダイヤル
都道府県労働委員会・都道府県庁

ただし、これらは転職支援というよりも、今の職場が酷いことについて相談することがメインになっています。

復帰するためのリハビリ
職場復帰支援(リワーク支援)
独立行政法人高齢・障害・休職者雇用支援機構

職場に復帰するためのリハビリを行います。
主治医と連携しつつ、職場でのストレス対処法、作業遂行に必要な持続力・集中力の向上、コミュニケーションスキルの向上等の支援を本人に行います。

各地域障害者職業センターで実施していて、精神障害者手帳は必須ではありません。
ただし、その場合は主治医の「うつ病である」という診断書が必要になります。

交通費や食費は実費ですが、リワークプログラム自体は無料で受けることができます。
窓口はハローワークではありません各都道府県にある「障害者職業センター」ですので注意してください。

具体的な転職、再就職の支援

施設 内容
ハローワーク 具体的な求人はハローワークに集まります。障害者専門の相談窓口(「専門援助部門」)というものがあり、障害者雇用の案件などを取り扱っていて、担当者もうつ病に理解がある人がいます。
手帳を持っていない人もひとまずこちらに行って相談してみるとよいでしょう。
障害者就業・生活支援センター 働く意思はあるが、どういう働き方がいいのかわからない、という人のための窓口です。職業適性検査や、職業リハビリテーション計画に基づいて今後の支援プランを作成します。いきなり、ハローワークへ行く取りも戦略が練れる感じでしょうか。
地域障害者職業センター 上のリワーク支援を行っている各地域障害者職業センターでの転職支援になります。職場でのコミュニケーションやストレス解消法などについてサポートしていきます。
職業訓練 これはハローワークでよくやっているものですよ。無料でPCや溶接などのスキルを身に付けることができます。うつ病の人でなくてもだれでも受講できる制度です。
精神障害者社会適応訓練 いきなり社員やアルバイトで働くのではなく、うつ病などの理解のある会社でインターンシップのようなことをして訓練します。

転職先、再就職先候補として

就労継続支援A型

よくうつ病の人の復職、転職時に言及される「作業所」です。

とはいっても「A型作業所」は福祉施設と雇用関係を結びますから「労働者」となり、最低賃金は保証されます。
それ以上(最低賃金以上)はなかなか難しいのですが、とりあえず生活の基盤を確保しつつ、配慮がある職場で働けます。
もちろん職場の人はうつ病のことを分かっていますから、調子が悪くて欠勤しても解雇になるみたいなことはありません。

就労継続支援B型

A型よりもさらに配慮されていますが、こちらは雇用契約ではないので最低賃金の保障はありません(労働者ではないので)。
「家で寝ているだけでは・・・」という人で無理のない範囲でリハビリしたい人向けです。

このように政府、公的な転職支援メニューは様々にあります。
いきなりハローワークで転職求人を探すよりも、それ以前のリワークやサポートが受けられます。転職活動自体は、民間の転職サイトや転職エージェントでいいわけで、無料でそれ以前のうつ病のどん底から這い上がる機会を、公的支援で勝ち取るのが正しいと思います。

ただメニューが多すぎですので、どれにするのかよく考えて決めましょう。
おそらく窓口が違うと、「よくわからないんで他に行ってください」とたらいまわしにされます。
お役所仕事ですからね。

民間の再就職支援、転職支援

民間の場合、病院系と企業、NPO系の支援があります。

うつ病(精神疾患向け)向け転職エージェント、転職サイト

まず思い浮かぶのがうつ病の人向けの転職支援です。
普通の転職と同じように、精神疾患の人向けの転職エージェントや転職サイトがあります。
求人は「障害者雇用案件」が多く、収入の面では低い傾向にありますが、ハローワークで探すよりも優良企業が多くおすすめです。

代表的なものを挙げておきます。

リクナビNEXT(転職サイト)

こちらは大手のリクルートが運営している障がい者のための転職サイトになります。
エージェントとコミュニケーションをとる必要がないのでうつ病の方にもおすすめです。
さらにリクルートでは「アットジーピー」「アビリティスタッフィング」といった障がい者向けの就職・転職サイトが複数運営されているので自分にあったサイトを見つけてみてください。
厚生労働省と連携しているので安心して利用できます!

DODAチャレンジ(転職エージェント)

大手転職サイトDODAの障害者向けのサービスになります。
手帳所持者か申請中の方が登録できます(おそらく申請書控えを提出するのでしょう)。
実績があるDODAですからこちらも頼りになりますね。

アビリティスタッフィング(転職エージェント)

リクルートが運営する精神障害に特化した転職サービスです。
手帳を持っていなくても登録できます。
リクナビやリクナビエージェントとの併用可。情報は共有されませんので安心してください。

アビリティスタッフィングの精神保健福祉士等などがサポートをするため、かなり手厚いサービスになっています。
リクルートですし、信頼もありますよね。
企業との採用面接時には、スタッフの方も同行します。

アットジーピー(転職エージェント)

今回は関係ないですが、発達障害の人の求人にも強い転職エージェントになります。
手帳は必須です。

エージェント・サーナ(転職エージェント)

障害者専門の転職エージェントです。
身体障害者向け求人がメインですが、精神障害のカテゴリもあり、うつ病の人でも登録ができそうです。
登録には障害者手帳が必要です。

⑤ウェブ・サーナ(転職サイト)

エージェント・サーナを運営する会社の転職サイト版です。
障害者手帳は必須になります。

転職活動全般のサポート

ピュアハート・ワークス

転職エージェントなのですが、上記のところと違いリワーク施設などと連携して転職先を探していきます。
転職エージェントという企業色ではなく、福祉色、医療色が強い組織だと思ってください。
もちろん、登録・利用は無料です。

リワーク支援

まだ転職をするのは怖い、自信がない人向けにリワークを支援している民間組織もありますので紹介します。

株式会社リヴァ オムソーリ

うつ病の方に特化した、復職・再就職支援を行う復職支援施設【オムソーリ】です。
うつ病特化というのがいいですね。
利用日も1日900円と安くて安心です。

一般社団法人リエンゲージメント

地域の保健センターなどと連携してリワーク支援を行っています。
収入によってはリワークの費用が掛からないこともあります。
半官半民のリワーク施設といったところでしょうか?

一般社団法人リファイン就労支援センター

心理療法や座学での復職戦略など、そこで作業するというよりも頭を使ってどうするかを考えることが中心です。
ホワイトカラーへの復職、転職を希望している方はこちらのプログラムが向いているかもしれません。

株式会社ビューポイントコミュニケーションズ ビューズ

名古屋にあるうつ病再発予防・復職・再就職支援施設です。
やはり収入に応じて負担額が決まりますが高くても1日1000円くらいです。

株式会社Bowl

沖縄にある復職支援プログラムです。
こちらも利用費の上限が決まっていますので安心できます。

民間にある復職支援の団体はほんの一部です。検索すれば多くのところが出てくると思います。
重要なのは、厚生労働省認可の団体であること。
それによって毎月の負担額に上限があり、経済的に圧迫されないということです。

民間の知恵と公的な支援(利用料上限)をあわせもったところで、うつ病からの再起を図るのもいいと思います。

病院の再就職支援、転職支援

うつ病の復職支援プログラムは、病院や精神科があるクリニックでも行っています。

メディカルケア虎ノ門

日本で最初に終日型のリワークプログラムを2005年に開始し、1000名以上の方の復職をサポートしてきた実績のあるメンタルクリニックです。
リワークプログラムには自律支援医療や保険が適用できるものもあるようです。

池澤クリニック

大阪にあるクリニックで、うつ病に特化したリワークプログラムを行っています。
プログラムは保険や自立支援が適用できます。

花クリニック

代々木にある薬に頼らないうつ病、精神疾患治療を行うクリニックです。
グループ療法などによってうつを再発しないような思考を作っていきます。

うつ病の人向けの転職、再就職支援は大きく分けて、「公的機関」「民間組織」「病院」の3つあることがわかりました。
それぞれメリットがありますので、上手に使い分けてくださいね。。

  • 公的機関 無料、メニューが多い
  • 民間組織 民間ならではのアイデア、先進的な取り組み
  • 病院 医療に基づいている、保険や自立支援医療が適用できる

まず療養が大切です!

色々書きましたが、大前提として十分な休養が必要です。
ボロボロになって退職した場合は数か月~年単位でひたすら寝ていることも必要です。

履歴書の空白にはなりますが、焦って転職するともっと泥沼にはまってしまうのがうつ病の怖いところです。
働けないという診断書を添えて、ハローワークでの雇用保険受給期間の延長手続きなどやって、じっくり休んで反転攻勢に備えましょう。

ある程度動けるようになったら「リワーク」で全然いいと思います。
これ以上うつをこじらせるのが最悪です。

うつ病による転職・就職・再就職支援を企業、政府問わず網羅してみた まとめ

  • 転職・就職・再就職支援は大きく「リワーク」と「職場紹介」に分かれる
  • 転職・就職・再就職支援は「公的機関」「民間組織」「病院」の3本柱
  • それぞれにメリットがあるので上手に活用する
  • 公的機関の窓口は専門外だとたらいまわしにされる可能性がある
  • 厚生労働省認可の民間組織は費用負担に上限があるためそこを選ぶ
  • 病院のプログラムの中には保険や自立支援が利くものがある
  • 焦らず、まずはじっくりと休養をして動けるようになるのが先決である