転職エージェント経由で転職先を探したい場合、自分のネガティブな部分をどこまで話すべきなのか??という問題があります。
話してしまうと、それを考慮され「紹介できる転職先はありません」と言われるかもしれません。
一方でオープンにせず黙っていた場合、後々もめる可能性も出てきます。

ここではうつ病で会社を辞めて転職エージェントに登録した場合の診断書提出について考えたいと思います。

大前提は正直に話すこと

以下で、話した方がいいのか悪いのかを述べていきますが、大前提は病気や病歴などは話すべきです。
ただし、体の中の問題ですので、出身大学を偽ったなど経歴詐称のように第三者からみて分かるものでもありません。

「病気ではありません」とサインして、入社した後に病気が分かたら解雇できるという見解もありますが、裁判になると会社側が不利になるようです。
片目が見えない人は、精密作業が大変なケースもありますから配慮が必要で言うでしょうが、いまだに偏見のあるHIVに罹っている人は言わないでしょう(HIVはもう薬を飲めば一生エイズを発症しない段階になっています)。

ですので、うつ病をオープンにすることのメリット、デメリットをよく勘案してどうするか決める必要があります。

  • 転職先、転職エージェントに話しておいた方が有利なこと
  • 転職先、転職エージェントに話さなくても業務上支障がないこと

この2点をご自身のうつ病の状態から判断しないといけません。
個人差があるので正解が1つではない問題ということはご理解ください。

うつ病を伏せた方が案件は多い

ハローワークの求人でもそうですが、「うつ病可」「精神疾患可」という条件を出しているところはまずありません。

「自家用車通勤可」「パート勤務可」など待遇面の問題ではなく、その人が病気というリスクを抱えているため、それを表立ってOKする企業は少ないでしょう。
転職活動の際、病気をクローズにしてする人が多いのは、身体的なハンディがあると採用されにくくなるという厳然たる事実があるからです。

企業も堂々と「あなたは病気だから」という理由で不採用にはできないと思いますが、複数の応募があれば、よほどその人にすば抜けたのもがない限り不利になります。

身体障害(車いすや手や足が不自由など)や内臓疾患等であれば配慮すべきことをすれば、他の人と同じように働くことができますが、精神疾患の場合、なった人ならわかると思いますが、ある朝いきなり起きられなくなる、通勤できなくなる、何もできなくなる、何も考えられなくなる・・・、会社にとってはリスキーですよね。

病気を正直に全て告白しなくても別に罰則はありませんし、告白しないでごまかせるならばクローズでやるのも1つです。
ただし、うつ病の場合、何が原因で再発するかわかりませんからね。
病気を伏せた方が求人、案件が多いのは事実でしょう。

自分はどのパターンに入りますか?

ただし、転職活動をするにあたって自分がどのケースに当てはまるのか把握しておいてください。

うつ病の症状はない、完解している

精神疾患は風邪や骨折のように「完治」という概念はありません。
症状が出なくなって数年経過すると「完解」という状態になり、以降も(症状が出ないように)一生上手に付き合っていくしかありません。
うつ病の因子は体に残っていて、何かのはずみで再発する可能性はあります。

この状態ならば、外見も実際の労働についてもうつ病でない人と変わりませんから、うつ病をクローズにして転職活動しても問題ないと思われます。

このくらいになると、入れないと言われている生命保険も入れるところが徐々に出てきます。
健康上のリスクは依然としてあるものの、「社会的治癒」と認められますので、まぁ伏せなくても大丈夫だと思います。

ただし、もし数年休んで回復したというケースでは、履歴書の空白期間の説明が求められることは言うまでもありません。
正直に「療養してうつ病は完解しました。社会的治癒です」とオープンにした方がいいかもしれません。
履歴書に空白がないなら黙っていてもいいのかなと思います。

障害者手帳を持っている場合

うつ病でも障害者手帳(精神)を取ることができます。
主治医の指導などで取得した方もいらっしゃるかもしれません。

転職活動の際、手帳保持者であることをオープンにする必要はないですし、転職エージェントに言う義務もありません。
症状がかなり安定してきて普通に働けるケースもありますよね。
だから、自信があるなら黙っていてもいいですし、年末調整で障害者控除の申請をしなければ会社にもバレません。

一方で、会社には障害者の法定雇用率というものがあり、それを満たさないといけません。
車いすの人など外見で分かりやすい身体障害者の方でなくても、内臓疾患やうつ病でも構いません。

「障害者求人」で募集している案件は、給与や待遇が悪いものもありあまりおススメしません。
むしろ「健康な人と同等に働けるけど障害者手帳を持っている」人が歓迎されるケースもあります(法的雇用率を満たせるので)。
ひょっとするとクローズ求人でそういうものが転職エージェントに来ているかもしれず、告白した方が得なることもありそうです。

ただし、

  • 問題なく働ける
  • 症状は安定している

という診断書を添えた方がいいですね。

障害者手帳がなくかつ現在もうつ病で苦しい場合

このパターンが一番大変なのですが、現在もうつ病で苦しい場合、おそらく転職活動も精いっぱいだと思います。
家庭や生活がかかっているので「療養してください」と軽々しく言えないのですが、そのまま転職できてもさらに悪化して深刻な状態になってしまう可能性があります。

手帳があれば、なんとなく状態はわかるのですが(障害者雇用という手段もありますし)、手帳がないと社会的に助ける方法がありません。
転職エージェントに告白して、一番ネガティブな反応があるのが(要は断られる)このケースだと思います。

転職活動では告白するデメリットが大きく、転職活動というか働くことのデメリットが大きい状態です。
最優先は病気の回復、安定なんですが、周囲の状況が許さない場合はクローズでやるしかないと思います。

障害者求人は少ない

障害者手帳があれば障害者求人に応募できますが、実際にある求人は「身体障害者」「知的障害者」向けのものが多く、うつ病の人を積極的に採用する企業は稀です。

障害者の法定雇用率についても、「身体・知的・精神」問わず○%ですので、あえてリスクが大きい精神障害者を採用するメリットがありません。
採用してもいきなり来なくなるリスクがある人は・・・ですよね。

そういう現状があり、手帳があれば有利とまでは行きません。
ただ、上述のように「普通に働けるけど実は軽い障害者」であることを証明できれば有利に働くこともあるかもしれません。

転職できても当然「うつ病でない人」としての働きが必要

うつ病であることを、転職先にも転職エージェントにもクローズにして転職した場合は、当然「健康な人」として配慮なしに最前線の仕事が与えられる可能性があります。
それでできなければ「ダメな人」の烙印を押されてしまい、最悪の場合解雇されてしまうかもしれません。

クローズにすると転職しやすいがクビにもなりやすいというのが事実としてあります。
逆に、うつ病であることを理解してもらったうえで転職できれば、激務部署を回避できますし、何かあってもすぐにクビにはならないでしょう。

「転職しやすさ」と「クビにならない可能性」を天秤にかけることになります。

転職後発覚した場合のリスク、信頼関係が崩れる

ここまでは転職サイトやハローワークにも当てはまることですが、ここから転職エージェント独自の問題になります。

ご存知のように転職エージェントは、転職させた企業から報酬をもらっています。
そして、その報酬は「その人が転職してから半年働いたら」などの契約になっているはずです。

つまり転職させてすぐ辞められると、「こんな人材をよこして!」ということで報酬がもらえなくなります。

もし、転職者がうつ病であることを伏せて、あるいはエージェントが知らずに転職して、
すぐにうつ病で退職ということになれば、企業側から
「何でうつ病であることを黙っていたんだ!」ということになり、企業とエージェントの信頼関係が崩れます。

転職エージェントに「非公開案件」など転職サイトなどに出ない求人があるのは、企業とエージェントの信頼関係によるものが大きく、うつ病を伏せてバレた場合は、移行そのエージェントやエージェント会社にその企業の求人案件が来ないかもしれません。

個人の問題ではなく、企業(転職先&エージェント企業)間の問題にもなるためかなり大事です。
もちろん、以降、うつ病で辞めた人はそのエージェント会社を使うことはできないでしょうね。

うつ病告白のメリットとデメリット

というわけで、うつ病を事前にオープンにすること、についてはメリットデメリットがありそうです。
また、オープンにする場合は医師の診断書を添えて、医学的にどのくらいの症状なのかをはっきりさせないと、口頭ベースでは証拠にならず「言った、言わない」になります。

告白する場合は診断書を提出することを基本にメリット、デメリットを考えるとこんな感じでしょうか?

メリット

  • 理解がある職場が見つかれば配慮してもらえる
  • 会社に「バレる」不安から解放される
  • 自分の身の丈に合った会社に転職できる
  • 転職エージェントが親身になってくれる可能性も
  • 手帳を持っていれば障害者雇用枠で加点に働くケースもあるかも

デメリット

  • 発覚した場合エージェントと転職先の信頼関係が崩れる
  • 業務が配慮されないためきつい仕事でうつ病が再発・悪化するおそれ
  • 「うつ病」の人を積極的に採用する会社は少ない
  • 選考で不利になるのは否定しがたい

うつ病を正直に話すべき?転職エージェントへの診断書をどうする?(提案)

うつ病の症状は個人差があり、エージェントの性格や考え方も違うので「正解」はないのですが、こういう感じにすればいいと提案します。

不安があるなら診断書を提出する

診断書の提出は一番誠実な対応だと思います。ただし、それによってエージェントからお断りを受けるリスクもまた存在しています。
転職エージェントは1つではありませんから、最初の会社のエージェントに診断書を出してみて反応をうかがう、でもいいと思います。

完解しているならば伏せてもいいのでは?

うつ病自体が完解していて問題なく働けるという自信があるならば、うつ病であったことを伏せてもいいかもしれません。
その方が求人案件が多いのは明らかです。

ただし、退職して療養期間がある場合などは素直に打ち明けた方がいいでしょうね。
エージェントにご自身の経歴に対して不信感を持たれるとよくないです。

手帳を持っているならば診断書とともに見せる

手帳についてはあったほうがいいケースもあります。
「業務は問題がない」という診断書と障害者であることを示す手帳があれば、転職先候補の会社も、みなさんをどういう立場で採用できるのか幅が広がります。

「ほかの社員と同等に働いて戦力なる軽めの障害者」というのはアドバンテージになるかもしれません。
転職できるということは障害等級3級ですので(2級はまず正社員として働けない)、診断書+手帳で攻めの転職に出るのもありですね。

今もうつの症状がある場合は診断書とともに打ち明ける

今もうつの症状がある場合、素直に診断書を添えて相談しましょう。
本当は療養するのが一番なんですが・・・。
転職先で症状が悪化するのが一番よくないです。

エージェントに病気のことも含めて相談しながら、傷病手当金の受給をして完全休養できないかなど考えてください。

他のサイトでは「クローズで」とありますが、本サイトでは完解して本当に元気になった場合以外は正直に診断書を出してエージェントに告白した方がトータルのリスクは低い、と考えます。

うつ病は再発すると地獄を見ます。だからそうならないようにするのが最優先です。

障害者専門の転職サイト、転職エージェントという選択肢も

色々書きましたが、病気の人、障害者専門の転職エージェント、転職サイトというものがあります。
ここならば病気であることが条件ですので、堂々とありのままを告白して転職活動できますので、大手の転職エージェントと並行して登録してもよいと思います。

アビリティスタッフィング(転職エージェント)

リクルートが運営する精神障害に特化した転職サービスです。
手帳を持っていなくても登録できます。リクナビやリクナビエージェントとの併用可。
情報は共有されませんので安心してください。

アビリティスタッフィングの精神保健福祉士等などがサポートをするため、かなり手厚いサービスになっています。
リクルートですし、信頼もありますよね。企業との採用面接時には、スタッフの方も同行します。

DODAチャレンジ(転職エージェント)

こちらも大手転職サイトDODAの障害者向けのサービスになります。
手帳所持者か申請中の方が登録できます(おそらく申請書控えを提出するのでしょう)。
実績があるDODAですからこちらも頼りになりますね。

アットジーピー(転職エージェント)

今回は関係ないですが、発達障害の人の求人にも強い転職エージェントになります。
手帳は必須です。

エージェント・サーナ(転職エージェント)

障害者専門の転職エージェントです。身体障害者向け求人がメインですが、精神障害のカテゴリもあり、うつ病の人でも登録ができそうです。
登録には障害者手帳が必要です。

ウェブ・サーナ(転職サイト)

エージェント・サーナを運営する会社の転職サイト版です。
障害者手帳は必須になります。

アビリティスタッフィング以外は障害者手帳が必要です。
これは障害者雇用の求人を探して紹介するからであり、精神疾患の人向けの見つけにくい求人をカバーしていきます。
クルートが障害者手帳が必須ではないのでは、障害者雇用求人ではないものもリクルートだから探せるのでしょう。

結局、手帳を持っていることは有利で、手帳がなくてうつ病に苦しんでいる人の転職が一番大変だということになります。
手帳が取れるのか、あるいは取るのかどうかは個人の判断ですが、転職市場を考えると持っていた方がいいということになりそうです(それを言うかどうかは別の話です)。

また、こういう病気・障害専門エージェントに、転職活動について(他社でクローズにするのか、オープンにしたほうがいいかなど)聞いてもいいと思います。
「自社以外のエージェント登録はダメ」という人はいないはずです。

すべての大前提として主治医とよく相談し指示を仰いでください。
「働いてはダメ」という医師の診断なのに転職するのはよくないです。

うつ病で転職エージェントに診断書提出は義務? まとめ

  • エージェントに診断書を提出するのは義務ではない
  • ただし、転職後にうつ病で退職となると話がこじれる
  • 本当に元気になっている人以外は診断書を提出した方がリスクが少ない
  • 精神障害者雇用の求人数は少ないし、手帳を持っていない人はそもそも応募できない
  • クローズで転職してうつ病が悪化・再発した場合のデメリットが大きすぎる
  • 手帳を持っているならば専門のエージェントに登録するのもあり
  • 専門エージェントに転職活動の進め方を正直に相談するのがいいかも
  • 大前提として医師が「働ける」と診断した場合の話になります
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